酸素マスクをされたが救護室に運ばれていった。カートは頭を抱えてすすり泣くゲオルグの横をすり抜けていった。なんだよ、あいつ、やっぱいい奴じゃねえか。そんなことをぼんやりと思った。何人かがやってきて、俺の両肩を支えた。無重力なのに支えが必要なんて、とても不思議な心地がした。



 彼女がプラントに送還されたのはそのすぐ後のことで、ちょうど運よく隊長の救護に駆けつけていたシャトルに同乗できたということだった。つまり少なくともその時点では彼女は命を取り留めていたということになる。



 その後俺は右腕を失ったホーキンス隊長に代わって指揮を任されることになり、意図して彼女を思考から振り払わざるを得なくなっていた。そうして次々と舞い込む戦況、停戦の知らせ、FAITHの勲章。気づいた時にはプラントの病院からの連絡が途絶えていた。問いただすと、院長は何も言わず悲痛な面持ちで目をふせた。






 そうして彼女は俺の前から消えた。